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プロ用製版スキャナーについて

第1章 製版用スキャナーとデザイナー用スキャナーはどう違うか
第2章 スキャナーはグレーをどうやって判断しているか
第3章 カラーコレクションの本来の目的は色修正ではない
第4章 シャープ性と調子再現の密接な関係
第5章 期待色を基本にした色分解

     第2章

スキャナーはグレーをどうやって判断しているか

製版用のドラム型スキャナーはカラー写真を高速にスキャンニングしながら、光があたった瞬間瞬間に色をどうやって判断しているのか?
製版用スキャナーのカラーコレクション(photoshopの特定色域の選択と同等の機能)のツマミは概ね下の写真のようになっているが、ひとつひとつのツマミの守備範囲は、スキャナー製造メーカーにより違いがある、と言うよりおそらく、ヨーロッパ人とアジア人の民族性の違いによる差もあると思う。

(※上の写真以外に、色調整関係としてはホワイトカラーとブラックカラーやサチュレーションのツマミもある)




たとえば、日本ではアオを緑の範囲まで含む習慣があるが、スキャナーの設計にも青の範囲を広く、緑の範囲を狭くする民族性があっても不思議ではない。実際にイギリス向けと香港向けの仕事では調子がまるっきり違う、イギリス向けは墨がライト部から入り色も濁った色分解をするが香港向けはいわゆるオーバーマスキングで極彩色を好む傾向がある。
大日本スクリーン製とHELL社製のスキャナーとで比較したことはないが、DC350は、野外で撮影した深い緑の葉は、空が移り込んでいる部分はシアンだし、葉の陰の部分はブルーと判断する。葉は緑というのは記憶色でしかない。
話がグレーの話からで少し逸れたが、スキャナーが色を見分けるようにスキャナー(photoshop)はグレーも見分けている。
photoshopの特定色域の調整にはグレーという項目があるし、UCRやGCRやアクロマチックなどを行う上でもR、G、Bの3色の相対的比率でスキャナーはその色をグレーのツマミで動く範囲の色かどうかを判断している。
しかし、グレーという概念には計算できないファクターもある。

単純に言ってグレーとは、
 R:200
 G:200
 B:200
と同じ数字になった部分である。
では、200、200、199はグレーではないのか?ではグレーの範囲はどのくらいなのか 200、200、195ぐらいまでとか範囲があるのか?
グレーとも色とも思えるところはどうスキャナーは判断しているのか?
(私はここで擬人法的な表現を使っているが、驚異的な能力を持つ製版用スキャナーを毎日操作していると、スキャナーに人格が宿っているかのような感覚になってくるのである)

さて、最近、アクロマチック(ICR)と呼ばれるグレー部分をすべて墨版に置き換える手法が展示会などで、よく見かけるようになった。
なんでこんなことをするのかは、いろいろなsiteで紹介していると思うので省略させて頂きますが、(※に続く)

アクロマチックの説明用にDC350で実際にYMCBkの4版に色分解したものを校正刷りしました
上が通常の色分解:下がアクロマチック分解です
DC350はoptionなしでアクロマチック分解ができるすぐれもののスキャナーでした

(※)淡いグレー(YMC表現)を墨に置き換えることは、コンピュターの演算の難しさもさることながら、周りが赤いところにR:200 G:200 B:200のグレーを置いたらグレーには見えない。数字上のグレーではなく人が見てグレーと思うところをコンピューターに認識させるのは並大抵ではない
写真の中でグレーに見える部分は錯覚である場合が多く、色彩の対比や同化などの心理的作用が複雑に入り交じっている状態で私たちは写真を見ている。
確かにワイシャツは白い、しかし、完全なグレーの部分なんて写真の中にはほとんどない。それが、自然な姿なのだ。
だから、グレーらしきところを完全に墨に置き換えてしまうと非常に違和感のある現実離れした冷たい表現になってしまう。青い影、茶色い影などがあって人ははじめてそれがこの世のものと思えて安心するのである。

なので、今のところ、完全に墨に置き換えない
アクロマチックを行うのが一般的である。

だが、中途半端なアクロマチックではいけない仕事もある。アクロマチックの手法を突き詰めて研究することは、HAL 9000 の世界に突入することである(HAL 9000 は映画「2001年宇宙の旅」にでてきた人口知能をもったコンピュターの名前です)つまり、人間わざではないということです。

いつかは視覚の心理的作用までをコンピュターが演算してしまう日はくるでしょう。芸術を数式化してしまう恐ろしい世界です。
          
  (執筆中断)
     話がだいぶ脱線してしまったので後日、書き直します。
                      2006.12.11

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