問い 25
ヘリオの版深はセル幅がわかれば計算できます。
では、スタイラス角度が130度でのベタの版深は何μでしょう? ベタのセル幅は180μとする。
版深=( )×180
小数点以下の数字が入りますが、この数字を記憶していないと分からない問題です。
解説;
セル幅とは幅方向のセル幅です。175線(70線)ですとベタのセル幅は最大でも180μぐらいですので、180×0.233でおよそ42μになります。網グラの版深の数字に慣れた人にはすごく深く感じますが、セル形状が違うので、印刷すると網グラの20〜25μの版深と同じぐらいの濃度になります。
セル幅が30μ(約5%)の時は版深は7μ
セル幅が90μ(約50%)の時は版深は21μ
ということになります
スタイラス角度が120度で175線の場合 ベタのセル幅が180μですと係数は0,289になるので52μとなります。
2008.12.30
ただし、これは新品のスタイラスの場合です。スタイラスは消耗品なのでしだいに、先端が丸くなります(ダイヤモンドの先端がワレて使用できなくなるまでには、ダイヤモンドの個体差があるので一概に断言できませんが150時間以上は使えると思います。スタイラスは1個約8万円もしますのでおいそれと交換はできません)
先端が丸くなると同じセル幅でも容積は当然変わります。そこで最近では、スタイラスの消耗形状を事前に把握して計算によってセル幅を調整しセル容積を新品に合わせる技術が開発されました。ただし、彫刻途中でスタイラスが欠けた場合は、製版のやり直しになるのは今も同じです。途中で欠けたのを目視で見つけるのはかなり困難です。 2013.4.27追加
資料:SYNTEKさんがくれた資料です(スタイラスの摩耗と破損)
問25のおまけ問題
175線の5%のセル幅は何μか?
これは試し彫りをして本番前に必ず点検する項目なので、35μとか必ず設定値がきまっているはずです。ですが、これはベタのセル幅や版深のように決まっているのではなく、実は、各製版メーカーが決めている数値なのです。
つまり、オフセット製版の網点面積率の5%は絶対値なので、製版作業上での5%の網点の面積はどのオフセット製版メーカーでも一定ですが、グラビア製版ではオフセットの網点面積率という理論を仮に利用しているだけなので、各製版メーカーのグラビア階調再現のノウハウによって5%のセル幅(50%のセル幅も)が変わります。
また、製版メーカー別だけではなく、原反の親インキ性、表刷か裏刷か、ヘリオとバルカスとか、さまざまな要因でセル幅は変わり、5%(50%も)のセル幅さも変化します。つまり、グラビアの網点%はオフセット印刷のような絶対値ではなく、各印刷や製版メーカーの社内だけで通用するプライベートな数字なのです。
ですので、ヘリオとオハイオで、同じ柄を彫刻して、同じ仕上がりを望むことや、同じヘリオでも、製版メーカーが変われば同じ印刷物をつくるのは無理です(故意に合わせない限り)
持論で恐縮ですが、私はそれでいいと思っています。
オフセット製版は、デジタル化時代の要求?という名目で、他社と同じ物がつくれるのを自慢して自滅してしまいました。グラビア印刷は「他社より良いもの」という目標で、データの非共有化で差別化を計るべきではないでしょうか。